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相続ってなに?今さら聞けない相続の基本

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今回は相続の基本をはじめ、実務経験をもとにした注意点や進め方などを丁寧に解説していきます。「相続って難しそう…」という方にも安心して読んでいただけるよう、高校生でもわかる言葉でお伝えします。

それでは、相続についての基礎から一緒に学んでいきましょう。


相続に関心が高まる理由


近年、相続に対する関心が高まっている大きな理由のひとつが、高齢化の進展です。

親世代が高齢になると、「もしものとき」に備えて財産の引き継ぎについて考える機会が増えてきます。

また、テレビやネットでも「相続トラブル」や「遺産争い」といったキーワードを見かけることが多くなり、身近な話題として感じる人も増えているようです。

たとえば、「実家を相続したものの兄弟と意見が合わず困ってしまった」「親の銀行口座が凍結されて生活費に困った」といったケースは、決して他人事ではありません。

こうした現実を知ることで、「うちもそろそろ考えておかないと…」という意識が広がっています。


相続を正しく理解する重要性


相続と聞くと、何となく「お金持ちの人の話」と思ってしまいがちですが、実際には一般家庭にも関係のあることです。

たとえば、地方にある実家の土地や家、少額でも預貯金がある場合、それらすべてが「相続財産」になります。

相続に関する基本的なルールを知らないままでいると、思わぬトラブルに巻き込まれたり、手続きがスムーズに進まなかったりすることがあります。専門的な知識がなくても理解できる範囲のことから始めておくことで、いざというときに落ち着いて対応できるようになります。

このブログでは、相続の基本的な考え方から、実際の流れや注意点までをわかりやすく解説していきます。



1.相続の基礎知識


相続とは何か?その定義と役割

相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や権利・義務を、家族などの相続人が引き継ぐことを指します。

財産にはプラスのもの(現金・預金・不動産など)だけでなく、マイナスのもの(借金や未払いの税金など)も含まれるのが特徴です。

たとえば、祖父が亡くなって実家の土地と家を相続することになった場合、その不動産をはじめとする資産を引き継ぐ一方で、もしローンなどの負債が残っていれば、それも相続の対象になります。

こうした点を知らずに「もらえるもの」だけをイメージしていると、あとで思わぬ負担を背負うことになってしまいます。


相続人と法定相続分の仕組み

相続人とは、被相続人が亡くなったときに、その財産を引き継ぐ資格のある人のことです。

法律で定められた順番があり、配偶者は常に相続人となり、それに加えて子ども、親、兄弟姉妹の順で権利が発生します。

たとえば、夫が亡くなった場合、妻と子どもが相続人になります。

このとき、法律では「妻が1/2、子ども全体で1/2」といったように、相続分があらかじめ決められています。

子どもが2人いれば、それぞれ1/4ずつになります。

こうした法定相続分のルールを知らないと、「長男だから全部もらえる」といった誤解が生じ、家族間でトラブルになるケースも多いです。


相続の開始から完了までの流れ

相続は、誰かが亡くなった時点で自動的にスタートします。

まず、相続人を確定し、相続財産の調査を行い、遺言書がある場合はその内容に従います。

遺言がない場合は、家族で遺産分割協議を行い、合意が得られたら財産を分けます。

具体的には、亡くなった人の戸籍を取り寄せて相続人を確認し、銀行や証券会社、不動産の登記情報などから財産の全容を把握します。

そのうえで、必要な手続きを経て財産の名義変更や分配を行います。

たとえば、実家を売却して現金化する、口座の名義を変更する、といった作業が発生します。

これらの作業は時間と手間がかかるため、できるだけ早めに動き始めることが大切です。


2.相続財産の種類と評価


相続対象となる財産とは

相続の対象となる財産には、私たちが普段イメージする「現金」や「預貯金」以外にも、さまざまなものが含まれます。

たとえば、不動産(土地や建物)、株式や投資信託といった有価証券、自動車、貴金属、骨董品などもすべて相続財産になります。

また、忘れがちなのが「借金」や「連帯保証人としての責任」などのマイナスの財産です。

たとえば、親が住宅ローンを残したまま亡くなった場合、その債務も相続の対象になります。

さらに、生命保険金のように一見「財産」に見えるものでも、受取人が明記されている場合は相続財産に含まれないケースもあります。

このように、何が相続の対象になるのかを知っておくことが、後のトラブル回避につながります。


不動産・預貯金・株式などの評価方法

相続財産を把握したら、次に必要なのは「その価値をどのように評価するか」です。

財産の金額を明確にすることで、分割や相続税の申告に備えることができます。

不動産の場合は、固定資産税評価額や路線価を基準に評価します。

たとえば、自宅の土地であれば、毎年届く固定資産税通知書に記載されている評価額を参考にします。

ただし、実際の市場価格とは異なるため、必要に応じて不動産会社に査定を依頼することもあります。

預貯金については、亡くなった時点の残高が基準になります。

金融機関の取引明細を取り寄せ、日付を確認しておきましょう。

株式などの金融資産は、亡くなった日の終値で評価します。

たとえば、ある上場企業の株を100株保有していた場合、その日の終値が1株2,000円であれば、評価額は20万円となります。

このように、財産の種類によって評価の仕方は異なるため、慎重に確認することが大切です。


相続財産の調査とリストアップのコツ

相続が始まったら、まず「何がどれだけあるのか」を調べて整理する必要があります。

この作業をスムーズに進めるには、ポイントを押さえておくことが重要です。

たとえば、親がどこの銀行を使っていたのかがわからない場合は、郵便物や通帳を手がかりに探すと良いでしょう。

また、ネット銀行や証券会社の口座も増えているので、メールやスマホのアプリも確認してみることをおすすめします。

不動産に関しては、登記簿謄本を取得することで所有者や所在地が確認できます。

相続税申告が必要になるかもしれない場合は、早めに税理士に相談しておくと安心です。


すべての財産をもれなくリストアップするために、チェックリストを活用したり、家族で情報を共有したりしておくことも大切です。遺産分割協議をスムーズに進めるためにも、正確な情報整理が第一歩となります。



3.相続に関わる手続きと注意点


┃ 遺産分割協議の進め方

相続が発生すると、相続人全員で財産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。

これは、法定相続分どおりに分けるとは限らず、相続人たちの合意によって柔軟に配分できるのが特徴です。

たとえば、長男が両親と同居して介護をしていた場合、「実家は長男が引き継ぎ、その代わりに次男や長女には預貯金を多めに渡す」といった取り決めも可能です。

ただし、このような話し合いは感情的な対立に発展しやすいため、冷静に、記録を残しながら進めることが大切です。

協議の内容がまとまったら、文書として「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名・押印します。

この書類は不動産の名義変更や銀行口座の解約手続きなどに必要となるため、後の手続きを円滑に進めるうえでも不可欠です。

なお、相続人の中に未成年者がいる場合は、家庭裁判所の許可が必要になることもあるので注意しましょう。


| 相続放棄と限定承認の選択肢

相続には、「必ず受け取らなければならない」という義務はありません。たとえば、故人に多額の借金がある場合、その負債まで引き継いでしまうのを避けるために、「相続放棄」や「限定承認」という方法を選ぶことができます。

「相続放棄」は、最初から相続人でなかったことにする制度で、借金などのマイナス財産だけでなく、プラスの財産も一切引き継がない代わりに、一切の権利義務から外れるというものです。これを選ぶには、原則として「相続が始まったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。

一方、「限定承認」は、プラスの財産の範囲内でのみ借金などの債務を引き継ぐ方法です。たとえば、遺産に100万円の預金があり、150万円の借金がある場合、預金の100万円を使って返済し、残りの50万円については支払いを免れることができます。

ただし、限定承認は相続人全員で共同して行わなければならず、手続きがやや煩雑です。そのため、利用する際は専門家に相談したうえで進めるのが安心です。


| 相続手続きにおけるトラブル事例と対策

相続手続きは感情や人間関係が絡むため、トラブルが起こりやすい分野です。

実際、「遺言書が見つかったが内容に納得できない」「財産の一部が隠されていた」「勝手に名義変更された」など、さまざまな問題が報告されています。

たとえば、兄弟のうち一人が親の財産管理をしていたケースで、「通帳を見せてくれない」「使い込みがあるのでは」と疑念が生じ、関係が悪化することがあります。

こうした事態を防ぐには、相続が始まる前から財産の情報を家族で共有しておくことが有効です。

また、遺言書がある場合はその有効性や内容に納得が得られず、相続人間で争いになるケースもあります。

遺言の形式が法律に則っていないと無効になることもあるため、遺言書を作成する際には専門家にチェックしてもらうことが望ましいです。

さらに、感情的な対立を防ぐためには、第三者である弁護士や司法書士などを間に入れて話し合いを進める方法もあります。

相続の話し合いは「早めに」「全員で」「記録を取りながら」が基本です。

冷静な対話と事前準備が、トラブルを避ける最大の対策となります。


まとめ 


相続の手続きは、誰にとっても避けては通れない大切なプロセスですが、その一方で多くの注意点や落とし穴が存在します。

特に遺産分割協議では、家族間の感情がぶつかり合い、思わぬトラブルに発展することも少なくありません。

冷静に、そして記録を残しながら進めることが重要です。 

 また、相続する財産に借金などのマイナスの要素が含まれている可能性もあるため、「相続放棄」や「限定承認」といった選択肢を知っておくことで、自分や家族を守る手立てになります。これらの制度は期限や条件があるため、判断は早めに行うことが肝心です。 

 さらに、相続に関するトラブルは事前の備えである程度防ぐことができます。

財産の状況を家族で共有しておく、遺言書の作成や保管方法を明確にしておく、必要であれば専門家のサポートを受けるといった対策を講じておけば、いざというときに慌てることなくスムーズに手続きを進められるでしょう。 

 相続は人生の中でも特に繊細なテーマです。しかし、基本的な知識を押さえ、準備を怠らなければ、大きな不安を回避することができます。

自分と家族の安心のためにも、今からできることを少しずつ始めてみましょう。


イーライフパートナーズではワンストップで相続相談が可能です。何から手を付けたら良いのかわからないという方も安心してご相談頂けます。是非、お気軽にご相談ください。


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